ピンマイク選びで迷っていませんか。機種ランキングを眺めるほど、自分の現場に合う一本が見えにくくなる場面が少なくありません。
ピンマイクは、まず「有線か2.4GHzワイヤレスか」の分岐から決まります。動きのある撮影・取材・配信なら2.4GHzワイヤレス(DJI Mic 2/Mic Mini、RODE Wireless GO II/Wireless ME、Hollyland Lark M2、SHURE MoveMic)が主役です。演台が固定の講演や会場設備への接続なら、有線(audio-technica ATR3350x/AT899、RODE Lavalier II)やUHFワイヤレス(SHURE BLX14/CVL、SENNHEISER EW-D ME2)も選択肢に入ります。自然な声色を優先するなら無指向性、雑音に強いのは単一指向性です。
本記事では、Sound Picks編集部が現場で得た判断軸をもとに、主要機種を公式仕様とともに横並びで整理し、用途別の選び方まで提示します。ワイヤレス全般の総論は「ワイヤレスマイクのおすすめ」も併せてご覧ください。
INDEX≡目次
- 1ピンマイク選びは「有線か2.4GHzワイヤレスか」から決まる
- ►2.4GHzデジタルワイヤレスが向く現場
- ►有線・UHFワイヤレスが向く現場
- ►編集部が現場で見た「電波が混んだ日の判断」
- 2指向性で選ぶ|無指向性は自然・単一指向性は雑音に強い
- ►無指向性ラベリアの特性
- ►単一指向性ラベリアの特性
- ►風・接触ノイズ対策
- 3接続先で選ぶ|カメラ・スマホ・PCと端子(3.5mm/USB-C/Lightning)
- ►カメラ(ミラーレス/ハンディカム)
- ►スマホ(iPhone/Android)
- ►PC・配信機材への接続
- 42.4GHzワイヤレスピンマイクのおすすめ|DJI・RODE・Hollyland・SHURE
- ►DJI Mic 2/Mic Mini
- ►RODE Wireless GO II/Wireless ME
- ►Hollyland Lark M2
- ►SHURE MoveMic
- 5有線・UHFピンマイクのおすすめ|固定講演・会場設備に強い選択肢
- ►audio-technica ATR3350x/AT899(有線)
- ►RODE Lavalier II(有線)
- ►SHURE BLX14/CVL・SENNHEISER EW-D ME2(UHF)
- ►編集部が現場で見た「講演の接触ノイズ」
- 6用途別の選び方まとめ|撮影・配信・講演・取材
- 7まとめ
- 8よくある質問
- 9関連リンク
ピンマイク選びは「有線か2.4GHzワイヤレスか」から決まる
ピンマイクは、伝送方式の分岐が出発点です。動く現場は2.4GHzワイヤレス、固定講演や会場設備接続は有線・UHFが堅実な軸になります。電池切れや電波混信の不安が少ないほうを優先するか、配線からの自由度を優先するかで入口が分かれます。
ラベリアマイクとは、衣服の襟元に留める小型マイクのことです。ピンマイクとほぼ同義で使われ、胸元から口元の声を一定距離で集音します。
2.4GHzデジタルワイヤレスが向く現場
2.4GHzデジタルワイヤレスとは、2.4GHz帯でデジタル伝送する方式のことです。アナログ無線で使われるコンパンダ(音を圧縮・伸張する回路)を使わずに伝送できるため、音が素直で、レシーバー設定も手早いのが利点です。撮影・取材・配信のように話者が動く現場では、この方式が定番になっています。
有線・UHFワイヤレスが向く現場
UHFとは、Ultra High Frequency(極超短波)の略で、専用周波数帯を使う業務無線です。多数のスマホやWi-Fi機器が2.4GHz帯を占有する会場では、UHFのほうが混信に強い場面があります。演台が固定でケーブルを引ける講演なら、有線ラベリアで電池・電波の不安をなくす選択も現実的です。
編集部が現場で見た「電波が混んだ日の判断」
Sound Picks編集部が屋外イベントの取材で2.4GHzワイヤレスを使った際、来場者のスマホやWi-Fiが密集し、受信が一時的に不安定になったことがあります。受信機を体の前面に出して見通しを確保すると回復しましたが、人が多い会場では混信を前提に、UHF機や有線を予備に持つ判断が無難でした。
指向性で選ぶ|無指向性は自然・単一指向性は雑音に強い
指向性は、無指向性なら声色が自然で頭の向きに強く、単一指向性なら狙った音以外を弱められます。ラベリアの定番は無指向性ですが、周囲が騒がしい現場では単一指向性が有利です。
無指向性ラベリアの特性
無指向性(全指向性)とは、周囲をほぼ均等に拾う指向性パターンのことです。話者が顔を左右に動かしても音量が変わりにくく、自然な声色になります。RODE Lavalier II、audio-technica ATR3350x/AT899、SENNHEISER ME2系などが無指向性です。静かな環境やインタビューに向きます。
単一指向性ラベリアの特性
単一指向性(カーディオイド)とは、正面を狙って背後を弱める指向性パターンのことです。周囲の雑音や反響を抑えやすく、SHURE BLX14/CVLのCVLマイクが代表例です。騒がしい会場やステージ近接の集音に向きます。
風・接触ノイズ対策
ウインドジャマーとは、マイク先端に被せる毛足の長い風防のことです。屋外の風切り音には、フォーム製のウインドスクリーンより毛足の長いタイプが効きます。接触ノイズ(衣服とマイクが擦れる音)は、ケーブルをループ状に逃がして留めると軽減できます。
接続先で選ぶ|カメラ・スマホ・PCと端子(3.5mm/USB-C/Lightning)
接続先で必要な端子と機材が決まります。カメラは3.5mm、スマホはUSB-CまたはLightning、PCはUSB-Cが基本です。手持ちの機器の端子を起点に、対応する受信機やアダプタを選ぶのが先決です。
| 接続先 | 主な端子 | 要点 |
|---|---|---|
| カメラ | 3.5mm TRS | 受信機をホットシューに載せて固定 |
| スマホ | USB-C/Lightning | 対応受信機・アダプタが必要 |
| PC | USB-C | 受信機を配信ソフトの入力に指定 |
カメラ(ミラーレス/ハンディカム)
カメラ接続では、受信機から3.5mm TRSケーブルでカメラのマイク入力へつなぎます。受信機はホットシューに載せて固定するのが定番です。
スマホ(iPhone/Android)
スマホ接続では、USB-C(Android・最近のiPhone)かLightning(旧iPhone)に対応する受信機やアダプタが要ります。DJI Mic 2/Mic Mini、Hollyland Lark M2、SHURE MoveMicは、スマホ直結を想定した構成が用意されています。
PC・配信機材への接続
PC接続では、受信機をUSB-Cでつなぎ、配信ソフトの入力に指定します。RODE Wireless GO IIやDJI Mic 2は、USB-C出力でPCへ直結できます。配信用マイク全般は「配信用マイクのおすすめ」でも整理しています。
2.4GHzワイヤレスピンマイクのおすすめ|DJI・RODE・Hollyland・SHURE
動く現場の主役は2.4GHzワイヤレスです。DJI Mic 2/Mic Mini、RODE Wireless GO II/Wireless ME、Hollyland Lark M2、SHURE MoveMicが代表的な比較対象になります。内蔵録音の有無、到達距離、バッテリー、接続先で選び分けます。
| 機種 | 伝送方式 | 到達距離(見通し) | 内蔵録音 | バッテリー | 接続 |
|---|---|---|---|---|---|
| DJI Mic 2 | 2.4GHz | 250m(FCC準拠) | 14時間・32bitフロート | TX/RX各6時間+ケースで計18時間 | USB-C/3.5mm/Lightning |
| DJI Mic Mini | 2.4GHz | 最大400m | 非搭載 | TX最大約11.5時間 | USB-C/3.5mm/Lightning |
| RODE Wireless GO II | Series IV 2.4GHz | 200m | オンボード録音対応 | 最大7時間 | 3.5mm/USB-C |
| RODE Wireless ME | Series IV 2.4GHz | 100m超 | 非対応 | 最大7時間 | 3.5mm/USB-C |
| Hollyland Lark M2 | 2.4GHz | 最大300m | 24bit | TX10時間+ケースで約40時間 | USB-C/3.5mm/Lightning |
| SHURE MoveMic | 2.4GHz | スマホ直結構成 | 24bit | 8時間+ケースで計24時間 | スマホ(MOTIV連携)/受信機 |
DJI Mic 2/Mic Mini
DJI Mic 2は、DJI公式によると伝送距離250m(FCC準拠・見通し)、トランスミッター単体で14時間の内部録音と32bitフロート録音に対応します。バッテリーはTX/RXそれぞれ最大6時間、充電ケース併用で計約18時間です。内蔵録音は電波が途切れても手元に音が残るバックアップになり、取材や一発撮りで安心材料になります。
DJI Mic Miniは、DJI公式によるとトランスミッター約10gの超軽量設計で、伝送距離は最大400m、TX最大約11.5時間です。軽量・小型を優先したモデルで、内蔵録音は非搭載というトレードオフがあります。Vlogや軽快な撮影に向きます。
RODE Wireless GO II/Wireless ME
RODE Wireless GO IIは、RODE公式によるとSeries IV 2.4GHzデジタル伝送(128bit暗号化)、到達距離200m(見通し)、送信機本体へのオンボード録音に対応し、バッテリーは最大7時間です。送信機が2台付属する構成なら、2人同時収録に使えます。
RODE Wireless MEは、受信機にもマイクを内蔵し、GainAssist(録音レベルを自動調整しクリップを防ぐ機能)を備えます。RODE公式によると到達距離100m超、バッテリー最大7時間で、内蔵マイクは無指向性コンデンサーです。レベル合わせを任せたい手早い現場に向きます。
Hollyland Lark M2
Hollyland Lark M2は、Hollyland公式によるとトランスミッター約9g、到達距離最大300m、TX単体で最大10時間・充電ケース併用で合計約40時間の駆動です。ビット深度は24bitで、超軽量クリップ型として撮影・インタビューに向きます。なお32bitフロート録音は上位機のLARK MAX 2の機能で、M2とは異なります。
SHURE MoveMic
SHURE MoveMicは、SHURE公式によると1回の充電で8時間、充電ケース併用で計24時間、IPX4防滴に対応するクリップ一体型です。受信機なしでもBluetooth経由でShure MOTIVアプリと連携し、スマホへ直結できる構成があります。周波数特性は50Hz〜20kHzです。
有線・UHFピンマイクのおすすめ|固定講演・会場設備に強い選択肢
固定講演や会場設備への接続は、有線・UHFが堅実です。電池切れや電波混信の不安が少なく、長時間の登壇でも安定します。多人数運用や混雑会場では、UHFの多チャンネル性が効きます。
| 機種 | 種別 | 指向性 | 伝送/接続 | 電池・電源 |
|---|---|---|---|---|
| audio-technica ATR3350x | 有線ラベリア | 無指向性 | 3.5mm | LR44電池 |
| audio-technica AT899 | 有線ラベリア(業務) | 全指向性 | 専用接続/ファンタム | 電源モジュール等 |
| RODE Lavalier II | 有線ラベリア | 無指向性 | 3.5mm TRS | 送信機側から給電 |
| SHURE BLX14/CVL | UHFワイヤレス | カーディオイド | UHF(アナログ) | 単三電池 最大14時間 |
| SENNHEISER EW-D ME2 | UHFデジタルワイヤレス | 無指向性 | UHF(デジタル) | 専用充電池/単三 |
audio-technica ATR3350x/AT899(有線)
audio-technica ATR3350xは、メーカー公式によると無指向性コンデンサーの有線ラベリアで、オン/オフスイッチ、LR44電池、クロージングクリップとフォームウインドスクリーンが付属します。動画用途を想定した手頃な一本です。
audio-technica AT899は、公式によると5mm径の超小型全指向性コンデンサーで、放送やシンポジウムのPA用途を想定した業務機です。各種マウントベースやウインドスクリーンを選べる拡張性が特徴です。
RODE Lavalier II(有線)
RODE Lavalier IIは、RODE公式によると無指向性コンデンサーで3.5mm TRS接続、近接効果(マイクに近づくと低域が膨らむ現象)の影響を受けにくい設計です。Wireless GO IIなどの送信機に挿して使う前提のラベリアで、無指向性の自然な声色を活かせます。
SHURE BLX14/CVL・SENNHEISER EW-D ME2(UHF)
SHURE BLX14/CVLは、SHURE公式によるとUHF帯のワイヤレスプレゼンターシステムで、CVLカーディオイド(単一指向性)ラベリアを同梱します。ボディパックは単三電池で最大14時間、到達距離は見通しで約100m(300ft)、1バンドあたり最大12chの多人数運用に対応します。
SENNHEISER EW-D ME2は、SENNHEISER公式によるとUHFデジタル伝送で、無指向性のME2ラベリアを採用します。56MHzのチューニング幅で最大90ch・2,240周波数を選択でき、入力ダイナミックレンジ134dB、最大音圧レベル130dBを公称します。混雑した会場での多人数運用に強い構成です。
編集部が現場で見た「講演の接触ノイズ」
Sound Picks編集部が講演の集音を担当した際、登壇者が大きく身振りするたびにケーブルが衣服に擦れ、接触ノイズが乗ったことがあります。送信機を腰でしっかり固定し、ケーブルを一度ループ状に逃がして留めると解消しました。演台が固定の講演では、ガンマイクや会場設備への接続を併用する判断も有効でした。音響の基礎は「PAとは」も参考になります。
用途別の選び方まとめ|撮影・配信・講演・取材
用途で見ると、撮影・Vlogは軽量無線、配信はPC直結しやすい無線、講演は混信・電池が安定する有線/UHF、取材は内蔵録音のある無線が軸になります。現場の動きと電源・電波の事情に合わせて選ぶのが現実的です。
- 撮影/Vlog:DJI Mic Mini、Hollyland Lark M2、RODE Wireless ME(軽量・手早い)
- 配信/PC:RODE Wireless GO II、DJI Mic 2、SHURE MoveMic(USB-C・モニタリング)
- 講演/イベント:SHURE BLX14/CVL、SENNHEISER EW-D ME2、有線ATR3350x/AT899(混信・電池が安定)
- 取材/インタビュー:DJI Mic 2(内蔵録音のバックアップ)、RODE Wireless GO II(2人収録)
まとめ
ピンマイクは、有線か2.4GHzワイヤレスかという入口の選択が最も大きな分かれ目です。動く撮影・取材・配信には2.4GHzワイヤレス、固定講演や会場設備接続には有線・UHFも候補になります。指向性は無指向性が自然、単一指向性が雑音に強く、接続先で必要な端子(3.5mm/USB-C/Lightning)が決まります。
風・接触ノイズ対策と、内蔵録音・到達距離・同時本数・電池の運用条件を合わせて確認すれば、自分の現場に合う一本が絞り込めます。価格は変動するため、実勢価格は各販売店でご確認ください。
よくある質問
Q. iPhoneでピンマイクは使えますか?
A. 使えます。USB-C(最近のiPhone)またはLightning(旧iPhone)に対応する受信機やアダプタが要ります。DJI Mic 2/Mic Mini、Hollyland Lark M2、SHURE MoveMicは、スマホ直結を想定した構成が用意されています。
Q. 2人を同時に収録できますか?
A. できます。RODE Wireless GO IIやDJI Mic 2はトランスミッター2台が付属する構成があり、2人分を1台の受信機で収録できます。Hollyland Lark M2やSHURE MoveMic Twoも2ch構成です。
Q. ピンマイクの留め方と擦れ音対策は?
A. 襟元やネクタイに、口元から15〜20cmを目安に留めます。ケーブルを一度ループ状に逃がして固定すると、衣服との擦れによる接触ノイズを軽減できます。
Q. 屋外の風ノイズはどう抑えますか?
A. ウインドジャマー(毛足の長い風防)を併用します。屋外ではフォーム製のウインドスクリーンより、毛足の長いタイプのほうが風切り音に強い傾向があります。
Q. 2.4GHzワイヤレスは電波が混む会場でも使えますか?
A. 使える場面が多いものの、多数のスマホやWi-Fi機器が密集する会場では不安定になることがあります。混雑が予想されるならUHF機(SHURE BLX14/CVL、SENNHEISER EW-D ME2)や有線を選ぶと安定しやすく、受信機の見通し確保も効きます。
Q. 有線とワイヤレスはどちらが音がよいですか?
A. 条件が整えば有線が安定し、運用の自由度はワイヤレスが勝ります。2.4GHzデジタルワイヤレスはコンパンダ不要の伝送で、実用上は十分な音質です。動きの有無と電源・電波の事情で選び分けるのが現実的です。